
【この記事はこんな方に向けて書いています】
- MBTI診断でENFJ(主人公型)と診断され、その性質に深く共感している方
- いつもリーダー役やまとめ役を任され、期待に応えようと頑張りすぎて疲れ果てているENFJの方
- 人の役に立つことに喜びを感じる反面、断れない自分に嫌気がさしている方
- 周囲のENFJの友人やパートナーが、なぜ時に苦しそうに見えるのか、その理由を深く理解したい方
あなたは、生まれながらの「主人公」だ。人を惹きつけるカリスマ性と、誰かの痛みを自分のことのように感じられる深い共感力。理想の世界を追い求め、周りを巻き込みながら前進する、まさに物語の中心に立つべき人間。それが、ENFJ(主人公型)である、あなただ。
だから、気づけばいつも、あなたは輪の中心にいる。誰もやりたがらない役職を「私がやるよ」と笑顔で引き受け、バラバラな意見をまとめ上げ、チームを一つの方向へと導く。周りはあなたを「頼れるリーダー」「太陽のような存在」と称賛し、感謝するだろう。
しかし、華やかな舞台の幕が下りた後、一人きりの部屋の静寂の中で、得体の知れない疲労感と、胸にぽっかりと穴が空いたような虚しさに、襲われてはいないだろうか。「みんなのために」と走り続けた結果、自分自身がどこにいるのか、わからなくなってはいないだろうか。
今回は、そんなENFJのあなたが、その優しさと責任感ゆえに陥ってしまう、「任されすぎ地獄」と、その先で静かにあなたを待ち構えている「5つの破滅フラグ」について、厳しい言葉で、しかし、あなたへの深い理解と共に、語っていきたい。これは、あなたを否定するためではない。あなたがあなたらしく、本当に輝き続けるために、知らなければならない、魂の警告なのだ。
他人の感情を吸収しすぎて、自分の心の声が聞こえなくなる
一つ目の破滅フラグ。それは、あなたの最大にして最強の武器である「共感力」が、あなた自身を破壊する凶器へと変わる瞬間だ。
あなたの外向的感情(Fe)は、驚くほど高性能なアンテナのように、常に周りの人々の感情や期待を敏感に察知する。誰が何に困っていて、何を求めているのか。言葉にしなくても、あなたにはわかってしまう。そして、その期待に応えること、場の調和を保つことに、無上の喜びを感じる。
しかし、そのアンテナの感度が高すぎるあまり、あなたは他人の感情をスポンジのように吸収しすぎてしまう。友人の悲しみは、あなたの悲しみになる。職場の不穏な空気は、あなたのストレスになる。そうして、他人の感情で心が満杯になった結果、あなた自身の「本当の気持ち」が、聞こえなくなってしまうのだ。
「本当は疲れているのに、笑顔で相談に乗ってしまう」「内心は反対なのに、場の空気を読んで賛成してしまう」。そんな自己矛盾を、毎日繰り返していないだろうか。それは、優しさではない。自分の心を殺し、他人の感情を優先する、緩やかな自殺行為に他ならない。自分の心の声に耳を澄ますことを忘れた人間は、やがて自分が何をしたいのか、何が好きなのかさえわからなくなり、空っぽの器として、ただ他人の感情を受け止め続けるだけの存在になってしまう。
理想の未来を追い求めるあまり、現実の不完全さを許せなくなる
二つ目のフラグ。それは、あなたの持つ内向的直観(Ni)が、完璧主義という名の呪いとなって、あなたと、そしてあなたの周りの人々を追い詰めることだ。
あなたの中には、常に「こうあるべきだ」という、理想の世界のビジョンがある。それは、誰もが幸せで、調和に満ちた、美しい世界だ。その理想を実現するためなら、あなたはどんな努力も惜しまない。その情熱こそが、あなたをリーダーたらしめている原動力だ。
しかし、その理想が高すぎるあまり、あなたは現実世界の「不完全さ」を許すことができなくなる。理想通りに動いてくれない仲間に対して、苛立ちを覚える。100点満点の結果が出せない自分自身を、無能だと責め立てる。「もっと頑張れたはずだ」「なぜ、わかってくれないんだ」。その理想と現実のギャップが、あなたの心を蝕んでいく。
ENFJは、全MBTIタイプの中でも、最も理想主義的なタイプの一つと言われる。しかし、現実世界は、常に混沌としていて、矛盾に満ちている。その不完全さを受け入れ、その中で最善を尽くす、というしなやかさを身につけない限り、あなたの理想は、誰かを救う光ではなく、自分自身を焼き尽くす業火へと変わるだろう。完璧な世界などどこにもない。その当たり前の事実を受け入れることが、あなたを呪いから解き放つ第一歩なのだ。
「NO」と言えず、地球の重力全てを一人で背負い込む
三つ目の、そして最もわかりやすい破滅フラグ。それは、あなたが「NO」という、たった一言を言えないことだ。
「これを頼めるのは、君しかいないんだ」。その言葉に、あなたの心は弱い。頼られること、必要とされることに、自分の存在価値を見出してしまうからだ。その結果、あなたは自分のキャパシティをはるかに超える仕事や責任を、次から次へと引き受けてしまう。会議の書記、イベントの幹事、揉め事の仲裁役…。誰もが嫌がる泥臭い役割を、あなたは「みんなのために」という大義名分のもと、笑顔で背負い込む。
そして、誰にも弱音を吐けない。リーダーである自分が、弱音を吐いてはいけない。そんな強迫観念に縛られ、一人で全てを抱え込み、解決しようともがく。しかし、あなたは神ではない。一人の、限界のある人間に過ぎないのだ。
断ることは、決して無責任なことではない。それは、自分に与えられた、本当に重要な責任を全うするための、賢明な選択なのだ。助けを求めることは、決して恥ずべきことではない。それは、周りを信頼し、より大きな力を生み出すための、リーダーが持つべき「強さ」なのだ。あなたが一人で背負い込んでいるその荷物を、少しだけ下ろしてみなさい。あなたがいなくても、案外、世界はちゃんと回っていく。その事実に気づいた時、あなたは本当の意味で、周りを頼れるリーダーになれるはずだ。
表面的な調和を優先し、本質的な対立から逃げ続ける
四つ目のフラグは、一見するとあなたの長所に見える、「調和を愛する心」がもたらす、深刻な病理だ。
あなたは、争いごとや対立を、極度に嫌う。誰かが誰かと対立しているのを見るだけで、自分の心がざわつく。だから、あなたは常に「平和の使者」であろうとする。意見がぶつかっている間に入り、両者の言い分を聞き、「まあまあ、お互いに落ち着いて」と、場を収めようとする。
しかし、その行動は、本当に問題解決につながっているだろうか。多くの場合、あなたは、本質的な問題の解決から目をそらし、ただ表面的な「平和」を取り繕っているだけではないだろうか。言うべき厳しいことを言えず、耳の痛い真実を伝えられず、ただその場が丸く収まることだけを優先してしまう。
しかし、先送りにされた問題は、消えてなくなるわけではない。むしろ、水面下で膿となり、より深刻な形で、いつか必ず噴出する。その時、あなたが築き上げた偽りの平和は、一瞬で崩れ去るだろう。真の調和とは、対立がない状態のことではない。対立を恐れず、本音でぶつかり合い、その上で相互理解に至ることによってのみ、生まれるのだ。嫌われる勇気を持って、言うべきことを言う。それこそが、あなたが果たすべき、本当の役割ではないだろうか。
まとめ
そして、最後の五つ目のフラグ。それは、これら全ての無理がたたった結果、訪れる必然の結末だ。一人になった瞬間に、急激な孤独感と、「自分は何のために生きているんだろう」という、底なしの虚しさに襲われる。
日中、あれほど多くの人に囲まれ、頼られ、エネルギーに満ち溢れていたはずなのに。夜、一人きりの部屋に戻った途端、あなたは自分が空っぽであることに気づく。他人のために尽くし、他人の期待に応え、他人の感情に寄り添い続けた結果、あなた自身のエネルギーは、完全に枯渇してしまっているのだ。
「みんなのために」と頑張ってきた。でも、その「みんな」がいない場所では、自分をどう保てばいいのかわからない。これが、ENFJが燃え尽きる、典型的なパターンだ。
ここまで聞いて、絶望的な気持ちになったかもしれない。だが、これは変えられない宿命ではない。あなた自身が、意識を変えることで、この破滅のループから抜け出すことは、十分に可能なのだ。
まず、自分を犠牲にして他人を救う、という傲慢な考えを捨てることだ。真のリーダーシップとは、まず自分が幸せで、満たされていること。自分が健やかで、エネルギーに満ち溢れていて初めて、その光で、周りを自然と照らすことができるのだ。
だから、勇気を出して、「NO」と言いなさい。あなたの時間を、あなたの心を、あなた自身のために使うことを、自分に許可してあげなさい。一人で静かに本を読む時間、誰にも邪魔されずに趣味に没頭する時間。そうやって、自分の内なる声に耳を澄まし、枯渇したエネルギーをチャージすることが、今のあなたには何よりも必要なのだ。
あなたは、「主人公」なのだから。物語の主人公が、脇役のために自分をすり減らして、途中で倒れてしまっては、元も子もないだろう。まずは、あなた自身の物語を、大切に生きること。それが、結果として、あなたの周りの人々を、最も幸せにする道なのだと、私は信じている。
コメント