
今、あなたの目の前にいる愛する人。その人との未来を思い描き、胸をときめかせていることでしょう。その笑顔も、優しさも、すべてが愛おしい。結婚すれば、きっと幸せな毎日が待っているはず…。もし、本気でそう信じているのなら、一度そのお花畑な思考を停止して、私の話を聞いてください。
あなたが結婚しようとしている相手は、本当に「一人」の大人ですか?
「親思いで、家族を大切にする人」。それは一見、素晴らしい長所に聞こえます。しかし、その「親思い」が、実は親の支配から抜け出せない「精神的な未熟さ」の裏返しだとしたら?「仲の良い親子」と「子離れ・親離れのできていない共依存親子」は、似て非なるもの。そして後者は、あなたの結婚生活を静かに、しかし確実に破壊していく、最も厄介な時限爆弾なのです。
この記事は、愛という名のフィルターを一度取り払い、あなたのパートナーとその親との「本当の関係」を直視するための、少し苦い薬です。目を背けたくなるような現実もあるかもしれません。でも、あなたの人生をかけた結婚です。後悔してからでは遅いのです。
【この記事はこんな方に向けて書いています】
・パートナーが何でも親に相談しないと決められないことに、少しモヤモヤしている人
・「うちの親がこう言ってるから」が、パートナーの口癖になっている人
・すでに義理の親との距離が近すぎて、息苦しさを感じ始めている人
・結婚後、自分たちの生活に義理の親がズカズカと踏み込んできそうな予感がする人
・パートナーのことが大好きなのに、その親子関係にだけは不安を感じているすべての人
結婚とは「相手の家族」という名のパッケージ商品を買うことである
まず、結婚における最も残酷な真実をお伝えします。それは、結婚とは「個人」と「個人」の契約ではなく、「家族」と「家族」の合併である、ということです。
あなたが「この人が好き!」と思って選んだそのパートナーには、もれなく「相手の親」という存在が付属してきます。これは、どんなに最新のスマートフォンを買っても、最初からインストールされている消せないアプリのようなもの。しかも、このアプリがもし、あなたのスマホの動作を重くし、バッテリーを消耗させ、個人情報を抜き取るような悪質なマルウェアだとしたら…?
「彼(彼女)は好きだけど、親とは合わないから、うまく距離を置こう」なんていう甘い考えは、今すぐゴミ箱に捨ててください。相手の親が「子離れ」できていない場合、その親はあなたたちの生活のあらゆる場面に、遠慮なく顔を突っ込んできます。あなたは、愛するパートナーと結婚したつもりが、気づけばその親とも「結婚」しているかのような、異常な三角関係に引きずり込まれるのです。
あなたが買うのは、パートナーという単体商品ではありません。「子離れできていない親」という、非常に扱いの難しいオプション機能が強制的にバンドルされた、パッケージ商品なのです。購入(入籍)ボタンを押す前に、そのオプション機能の詳細なスペックを、徹底的に確認する必要があるとは思いませんか?
愛情か、支配か。恐怖の過干渉チェックリスト
「でも、うちの彼は親思いなだけだし…」「彼女のところは、ただ仲が良いだけ…」そう思いたい気持ちは痛いほど分かります。では、その関係が健全な愛情の範囲内か、それとも危険な支配関係にあるのか、以下のチェックリストで冷静に判断してみましょう。
□ パートナーは、ほぼ毎日親と電話やLINEで連絡を取り合っている □ あなたとのデート中や旅行中でも、親からの電話にすぐ出る □ 二人の間の重要な決定(転職、引っ越しなど)を、まず親に相談する □ あなたの知らないところで、親から金銭的な援助を頻繁に受けている □ 親が、アポなしで突然家に来ることがある(あるいは来そうな気配がある) □ 親が、新居の合鍵を欲しがっている(あるいはすでに持っている) □ 「うちの親がこう言ってたよ」と、親の意見をあたかも正論のように伝えてくる □ あなたの個人的なこと(仕事、家族構成、健康状態など)を、勝手に親に話している □ 親が、あなたたちの夫婦生活(家事のやり方、お金の使い方など)に口を出してくる -□ あなたと親の意見が対立した時、パートナーは明らかに親の味方をする
3つ以上当てはまったら、黄色信号。5つ以上なら、赤信号です。それはもう「仲の良い親子」の域を、とっくに超えています。
ちなみに、司法統計によると、離婚の申し立て動機の上位には、常に「家族・親族との折り合いが悪い」が含まれています。これは、決して他人事ではない、現実的なリスクなのです。あなたのパートナーは、そのリスクを運んでくる運び屋かもしれません。
あなたのパートナーは、親の操り人形になっていませんか?
子離れできていない親の問題は、その親自身だけに留まりません。本当に深刻なのは、その親に育てられた、あなたのパートナー自身にあります。
子離れできていない親の元で育った子どもは、多くの場合、「親離れ」もできていません。つまり、精神的に自立できていない「大人子ども」なのです。彼ら(彼女ら)は、自分の人生における重要な判断を、自分自身で下すことができません。なぜなら、幼い頃から、すべてのことを親に決めてもらうのが当たり前だったから。
彼らにとっての正解は「自分がどうしたいか」ではなく、「親がどう思うか」です。
あなたの「こうしたい」という意見と、親の「こうしなさい」という意見がぶつかった時、彼らは思考を停止します。そして、いとも簡単に親の意見を採用する。なぜなら、その方が楽で、責任を負わなくて済むからです。
そして、最悪なのはその後のセリフです。 「ごめん、うちの親がどうしてもって言うから…」
まるで、自分は悪くない、悪いのはすべて親なのだ、と言わんばかりのこの態度。これは、パートナーとしての責任を放棄した、完全な裏切り行為です。あなたのパートナーは、もはや独立した一人の人間ではなく、親の意のままに動く「操り人形」であり、親の言葉をあなたに伝えるだけの「伝書鳩」に成り下がっているのです。
あなたが向き合わなければならないのは、義理の親というラスボスだけではありません。そのラスボスに魂を売ってしまった、あなたの愛するパートナーでもあるのです。
新居、子育て、お金…すべての決定権は“義理の親”にある地獄
「結婚すれば、きっと彼(彼女)も変わってくれるはず」 そんな淡い期待は、結婚生活が始まった瞬間に、木っ端微塵に打ち砕かれるでしょう。事態は好転するどころか、悪化の一途をたどります。子離れできていない親との結婚生活が、どれほど悲惨なものになるか、いくつかのシナリオを見てみましょう。
【悲劇1:新居探し編】 二人で話し合い、「通勤にも便利だし、この街がおしゃれでいいね」と決めた新居の候補地。しかし、それをパートナーが親に報告した途端、事態は急変します。「何かあった時にすぐ行けるように、うちの近所にしなさい!」という親の鶴の一声。パートナーはあなたに「親がそう言うから…」と、あっさり候補地を撤回。気づけば、あなたは義実家の監視下とも言える目と鼻の先で、新婚生活をスタートさせられるのです。
【悲劇2:恐怖の子育て編】 待望の第一子が誕生。しかし、そこからが本当の地獄の始まりです。義理の親は「孫のため」という大義名分を振りかざし、あなたの子育てにズカズカと介入してきます。「母乳の方がいいに決まってる」「昔はこうやって育てたものだ」「そんな服を着せては風邪をひく」。あなたのやり方はことごとく否定され、母親(父親)としての自信はズタズタに。そしてパートナーは、あなたと親の間でオロオロするばかりで、全く防波堤になってくれません。
【悲劇3:家計は筒抜け編】 「今月、ちょっと使いすぎちゃったね」という夫婦の会話。その内容が、数日後にはなぜか義理の親の耳に入っています。パートナーが、家計の状況を逐一親に報告しているのです。そして親からは「〇〇さん(あなたの名前)は金遣いが荒いんじゃないか」「もっと将来のために貯金しなさい」と、ありがたくもない説教が飛んでくる。プライバシーなど、どこにも存在しません。
これが、子離れできていない親がいる人との結婚のリアルです。あなたの人生の主導権は、あなたではなく、すべて義理の親が握ることになるのです。
結婚前に確認すべき、たった一つのこと
ここまで読んで、絶望的な気持ちになっているかもしれません。しかし、まだ間に合います。結婚という、後戻りの難しい契約を結ぶ前に、必ず確認しておくべき、たった一つのことがあります。
それは、 「もし、私(僕)とあなたの親の意見が対立したら、あなたはどちらの味方をしてくれる?」 と、パートナーに真正面から問うことです。
これは、あなたの未来を占う、究極のリトマス試験紙です。 この質問に対して、パートナーがもし、
「そりゃあ、親の言うことも聞かないと…」 「うまく間に入るよ」 「話し合って決めようよ」
などと、曖昧な答えをしたり、話をはぐらかしたりするようであれば、その人との結婚は、残念ながらやめておいた方が賢明です。その人は、いざという時に、あなたを守ってくれません。
理想的な答えは、ただ一つです。 「当たり前だろ。これからは、君と二人で新しい家族を作るんだから、何があっても僕は君の味方だ。親には、僕からちゃんと話して説得する」
この言葉を、迷いなく言ってくれる人。そして、実際に行動で示してくれる人。それこそが、あなたが生涯を共にするに値する、本当のパートナーです。
それでも彼(彼女)と結婚したいあなたへ。覚悟と戦略
もし、このリトマス試験紙で悪い結果が出たとしても、それでも「この人と結婚したい」と強く思うのであれば、あなたは生半可な覚悟でこの結婚に臨んではいけません。これは、茨の道を進むと決めた、あなたへの最後の戦略です。
戦略1:物理的な距離を死守する 最も効果的で、最も重要な戦略です。新居は、義実家から簡単には来られない距離に設定すること。できれば、新幹線や飛行機を使わないと来られないくらいが理想です。物理的な距離は、心理的な距離を生み、過干渉を防ぐ最大の防波堤となります。
戦略2:「報告・連絡・相談」のルールを徹底する 何か問題が起きた時、決定をするときは、必ず「まず夫婦二人で話し合う」というルールを、結婚前に書面で交わすくらいの覚悟で徹底させましょう。そして、「親に相談するのは、二人で結論を出した後に、事後報告として行う」と決めるのです。あなたのパートナーを、伝書鳩にさせてはいけません。
戦略3:あなたが「鬼」になる覚悟を持つ 悲しいことですが、パートナーが頼りにならない場合、あなたが義理の親と対峙する「鬼」になるしか、自分たちの生活を守る方法はありません。義理の親からの理不尽な要求や過干渉に対しては、「それは、私たち夫婦で決めますので」「申し訳ありませんが、そのやり方はできません」と、あなたがハッキリとNOを突きつけるのです。それで嫌われても構わない、という強い覚悟が必要です。
結婚は、ゴールではなく、スタートです。そのスタートラインに、重すぎるハンデを背負って立つ必要はありません。あなたの愛情が、搾取されるためだけに使われることのないよう、賢明な判断をしてください。あなたの人生の舵は、あなたが握るのですから。
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