
【この記事はこんな方に向けて書いています】
- 気づけば季節が何度も巡るほど、同じ相手を想い続けている方
- 相手のSNSを監視し、些細な言動に一喜一憂する毎日を送っている方
- 「いつかこの想いが届くはず」という、何の根拠もない幻想を信じている方
- 告白して玉砕するくらいなら、今のままの関係でいたいと願う臆病な方
- その苦しいはずの片思いに、どこか麻薬のような心地よさを感じてしまっている、すべての方
相手を想い、胸が締め付けられるように苦しくなる。ふとした瞬間にその人の笑顔が浮かび、一日が幸せな気持ちになる。甘くて、切なくて、ちょっぴり苦い、それが片思いの醍醐味…。
さて、その美しいポエムは一旦そこまでにしていただけますか。
あなたが大切に、大切に、まるで壊れ物の宝物のように抱きしめているその感情。それは、本当に「恋」なのでしょうか。相手の幸せを心から願う、尊い愛情なのでしょうか。
厳しいことを言いますが、あなたのその長すぎる片思いは、もはや恋愛ではありません。それは、あなたがあなた自身のために作り上げた、極めて質の高い「自己満足」という名のエンターテイメントです。
この記事は、そんなあなたの美しい幻想を、木っ端微塵に破壊するためのものです。慰めや共感が欲しい方は、今すぐブラウザを閉じて、失恋ソングでも聴いていた方がよほど有意義です。自分の惨めな現状と向き合い、その呪縛から本気で抜け出したいと願う、覚悟のある方だけ、読み進めてください。
あなたは相手を見ていない。見ているのは”理想の偶像”だけ
まず、あなたに問います。あなたは、本当に「その人」のことが好きですか?
恐らく、答えはNOです。あなたが恋い焦がれているのは、生身の人間であるその人本人ではありません。あなたが自分の頭の中で、都合よく作り上げた「理想の偶像」です。
あなたの頭の中にいるその人は、いつも優しくて、知的で、ユーモアがあって、完璧ですよね。あなたに対して、いつも思わせぶりな態度をとってくれますよね。しかし、それは現実の相手の姿でしょうか。
あなたは、相手の嫌な部分、だらしない部分、あなたとは価値観が合わない部分から、たくみに目を逸らしていませんか? 相手がたまに見せる優しさを100倍に拡大解釈し、あなたに全く興味がないという数多のサインを、すべて無視していませんか?
人間は、誰かを好きになると、その対象を過度に理想化する「認知バイアス」が働く生き物です。脳内でドーパミンが放出され、判断力を鈍らせる。まさに「恋は盲目」状態です。
しかし、あなたの場合はそのレベルを超えています。もはや、相手を神格化し、自分だけがその本当の価値を理解している特別な存在なのだと、自分に酔っているのです。あなたは相手を見ているのではなく、鏡に映った「理想の恋をしている自分」を見ているだけ。その滑稽な一人芝居に、いつまで気付かないふりを続けるおつもりですか。
「何もしない」という最高に”安全”な選択肢
片思いが永遠に終わらない、最もシンプルで残酷な理由。それは、あなたが心の底で「終わらせたくない」と願っているからです。
告白して、もしOKされたら? めでたし、めでたし。 告白して、もし振られたら? 辛いけれど、一つの恋が終わり、次に進める。
では、あなたが選んでいる選択肢は? そう、「何もしない」です。 相手との関係を進展させるでもなく、かといって諦めるでもなく、ただ遠くから眺めて想い続けるだけ。これほど安全で、心地よいポジションが他にあるでしょうか。
「何もしない」限り、あなたは決して振られることはありません。傷つくリスクはゼロです。現実の恋愛がもたらすであろう、すれ違いや喧嘩、相手の欠点に幻滅するような面倒な出来事とも、一切無縁でいられます。
あなたは、「片思いをしている自分」という、生ぬるいお風呂に浸かっているだけなのです。そのお風呂は、たまに切なさで胸がチクッとするかもしれませんが、火傷するような熱さも、凍えるような冷たさもありません。ただただ、安全で、変化のない、退屈なぬるま湯です。
そのぬるま湯の中で、「いつかきっと…」と夢を見ながら、現実から逃避する。これこそが、あなたの長すぎる片思いの正体。あなたは恋をしているのではありません。ただ、現実と向き合うことから逃げている、臆病なだけなのです。
悲劇のヒロイン症候群。その”酔い”はいつ覚めますか?
あなたの片思いが長引く、もう一つの厄介な理由。それは、あなたが「悲劇のヒロイン」である自分に、すっかり酔いしれているからです。
「こんなに一途に想っているのに、どうして彼は振り向いてくれないの…」 「私だけが、彼の本当の魅力を知っているのに…」
友人にそう言って悩みを打ち明け、同情的な言葉をかけてもらう。切ない恋愛ソングの歌詞を自分に重ね合わせ、涙を流す。相手のSNSを見ては、他の異性との交流に勝手に傷つき、落ち込む。
どうですか。その一連の行動は、もはやあなたの人生における、一大エンターテイメントになっていませんか?
主役は、報われない想いを抱えながらも、健気に相手を想い続ける、あなた。あなたは、その悲劇の物語に自分で自分をキャスティングし、その役柄を見事に演じきっているのです。その物語に、観客(友人)は同情し、BGM(恋愛ソング)が感動を盛り上げる。
素晴らしいですね。しかし、それは恋愛ではありません。ただの感傷的な自己陶酔であり、質の悪いメロドラマです。あなたは、恋愛感情そのものを楽しんでいるのではなく、「恋愛で悩んでいる自分」というステータスを楽しんでいるだけ。その痛々しい自作自演の舞台から、いい加減、降りる時間ではありませんか。
その片思いは、他の何かから逃げるための”言い訳”になっていませんか?
ここからは、さらにあなたの心の深層に踏み込ませていただきます。覚悟はよろしいですか。
あなたが、たった一人の相手にそこまで執着し、貴重な人生の時間を浪費し続けているのは、その片思いが、人生の他の重要な課題から目を逸らすための、非常に便利な「言い訳」になっているからです。
・「あの人のことを考えているから、仕事に集中できない」 ・「この恋がどうなるかわからないから、将来のことなんて考えられない」 ・「彼(彼女)を思うと、他の人との出会いを探す気になれない」
思い当たる節、ありませんか。 あなたは、うまくいかない仕事、退屈な日常、将来への漠然とした不安、そういった、本来であれば真剣に向き合わなければならない問題から逃げるために、「片思い」という名の聖域を作り出しているのです。
その聖域に逃げ込んでさえいれば、「私は今、恋愛で悩んでいるから」という大義名分で、人生の停滞を正当化できる。何もしない自分を許すことができる。片思いは、あなたにとって、人生の免罪符になっているのです。
なんと卑怯で、なんと怠惰なことでしょう。あなたは、一人の人間への恋心を、自分の人生から逃げるための盾として利用している。これ以上に、その想い人に対して失礼なことがあるでしょうか。
幻想を終わらせる、たった一つの残酷な方法
さて、ここまで読んで、自分の愚かさに気づき、本気でこの不毛な片思いを終わらせたいと思った、勇気あるあなたへ。その幻想を終わらせる方法は、たった一つしかありません。
それは、「現実を直視すること」です。 具体的には、「告白して、白黒ハッキリさせる」か、それができないなら「二度と会わない、連絡も取らない覚悟で、物理的・精神的に完全撤退する」かの二択です。
とある調査によれば、「告白せずに後悔した」と答える人は、「告白して後悔した」と答える人よりも遥かに多いというデータがあります。当然です。行動した結果の「NO」は、痛みを伴いますが、同時にあなたを呪縛から解放し、次へ進むための明確なスタートラインになります。
しかし、行動しなかった後悔は、「もし、あの時言っていたら…」という、答えの出ない亡霊となって、あなたの未来に永遠に付きまといます。
玉砕覚悟であなたの想いをすべて伝え、現実をその目に焼き付けるのです。あるいは、それがどうしても怖いというのなら、SNSのフォローを解除し、連絡先を削除し、思い出の品をすべて捨てる。相手の情報を一切遮断し、強制的にあなたの人生から存在を消し去るのです。中途半端に繋がっている状態が、あなたをぬるま湯から出られなくする最大の原因なのですから。
さあ、”物語”を閉じて、”現実”を生きなさい
あなたの長きにわたる片思いという物語。その本のページを、もう、閉じる時が来ました。
最終章を書き加えるのは、他の誰でもありません。あなた自身です。
ハッピーエンドになるか、バッドエンドになるか。それは、やってみなければわかりません。しかし、どちらにせよ、物語を完結させない限り、あなたは次の新しい本を手に取ることはできないのです。
幻想の世界で悲劇のヒロインを演じ続け、人生という貴重な時間を浪費し続けますか? それとも、現実の世界で傷つくリスクを負ってでも、自分の足で未来へ歩き出しますか?
本当の恋愛は、一方通行の美しい物語の中にはありません。傷つき、すれ違い、それでも相手と向き合おうとする、泥臭くて面倒な「現実」の中にしか存在しないのです。
さあ、顔を上げてください。 その手で、物語の最後のページを、力強くめくるのです。あなたの本当の人生は、そこから始まるのですから。
コメント