
【この記事はこんな方に向けて書いています】
・お見合い相手を「好きになれない」自分を責めている方
・カウンセラーから「好きになる努力が足りない」と言われ、苦しんでいる方
・婚活で「恋愛感情」と「結婚の条件」の板挟みになっている方
・結婚相談所というシステムの本当の使い方を知りたい方
結婚相談所で活動していると、必ずぶつかる壁があります。それは「感情」の壁です。「スペックは悪くない、むしろ良い。人柄も悪くなさそう。でも、どうしても好きになれない…」このどうしようもない感覚に、罪悪感を抱いていませんか?
そして、そんなあなたにカウンセラーはこう囁くのです。「会っているうちに情が湧きますよ」「相手の良いところを見つける努力をしましょう」「恋愛感情は後からついてくるものです」と。まるで、人を好きになれないのは、あなたの心がけが悪いせいだと言わんばかりに。
今すぐ、その呪縛から逃れてください。断言します。結婚相談所というシステムの中で、カウンセラーが軽々しく「恋愛」を語ることほど、欺瞞に満ちた行為はありません。彼らのその言葉は、あなたを幸せに導く魔法の杖などではなく、あなたを思考停止に陥らせ、不幸な決断へと誘導する悪魔の囁きです。この記事で、その構造をすべて解体し、あなたが自分の感情に自信を持って婚活を進めるための「本当の羅針盤」をお渡しします。
そもそも結婚相談所は「恋愛」をする場所ではない
まず、大前提として認識を改めてください。結婚相談所とは、ドキドキするような「恋愛」を始める場所として設計されていません。そこは、徹頭徹尾「結婚」という契約を結ぶためのパートナーを、極めて合理的に、効率的に探すための「市場」です。
考えてみてください。あなたは、どうやってお見合い相手を選んでいますか?偶然の出会いから、相手のふとした仕草や言葉に心惹かれ、気づいたら好きになっていた…なんていう、ドラマのようなプロセスではありませんよね。あなたはまず、年収、学歴、職業、身長、年齢、居住地といった、無味乾燥な「スペック」が羅列されたプロフィールシートを眺めるところから始めるはずです。
これは、恋愛とは真逆のプロセスです。例えるなら、就職活動で企業の財務諸表や事業計画書だけを読んで、その会社に熱烈な恋愛感情を抱けと言われているようなものです。無理に決まっています。最初に条件ありきで相手をフィルタリングする行為は、恋愛感情の源泉となる「偶然性」や「意外性」を、構造的に排除してしまっているのです。
それなのに、このシステムの中で「なぜ恋愛感情が湧かないんだろう」と悩むのは、ナンセンスです。それは、証券取引所で運命の出会いを探すくらい、土俵が違う話なのです。スペックシートを見て心が躍らないのは、あなたが冷たい人間だからではありません。あなたが、正常な感情を持った人間であることの証明に他なりません。まず、この事実を認め、自分を責めるのをやめることから始めてください。
「好きになる努力」という最も無意味で残酷なアドバイス
カウンセラーが繰り出す常套句の中に、私が最も唾棄すべきだと感じている言葉があります。それが「好きになる努力をしましょう」です。この言葉は、一見あなたのことを思っているようで、実はカウンセラー自身の「思考停止」と「責任転嫁」以外の何物でもありません。
そもそも、「好き」という感情は、努力でコントロールできる類のものではありません。感動的な映画を見て「よし、泣く努力をしよう」と思っても涙が出ないのと同じで、恋愛感情は理屈を超えた、本能的な反応です。それを「努力」という言葉で片付け、当人の精神論に問題をすり替えるのは、あまりにも無責任で、そして残酷です。
リクルートブライダル総研の「婚活実態調査2023」によると、結婚相手に求める条件として「一緒にいて落ち着ける・気を遣わない」が68.3%、「一緒にいて楽しい」が64.1%と圧倒的な上位を占めています。これは、燃え上がるような「恋愛感情(LOVE)」よりも、穏やかで継続的な「人としての好意(LIKE)」や相性を重視している人が大半であることを示しています。
にもかかわらず、カウンセラーは「条件は良いんだから好きになるべき」という論理であなたを追い詰めます。なぜか。それは、会員が抱える感情的な問題を分析し、具体的な解決策を提示する能力が彼らにないからです。会員が「好きになれない」と言う。その理由を言語化させ、何が障壁になっているのか(価値観のズレ?生理的な嫌悪感?コミュニケーションの問題?)を一緒に考えるのがプロの仕事のはずです。しかし、彼らはその面倒なプロセスを放棄し、「あなたの努力不足です」という便利な言葉で、すべての責任をあなたに押し付けているだけなのです。
これはもはやアドバイスではなく、精神的な虐待です。自分の感情を押し殺し、「好きにならなければ」と自分を追い込む作業は、あなたの心を確実に蝕んでいきます。
彼らが「恋愛ごっこ」を強要するビジネス上の理由
では、なぜ能力のないカウンセラーたちは、そこまでしてあなたに「恋愛ごっこ」を強要するのでしょうか。答えは単純明快。それが、彼らのビジネスにとって最も都合が良いからです。
前回の記事でも触れましたが、結婚相談所の多くは「成婚料」で成り立っています。カウンセラーの使命は、あなたを幸せにすることではなく、あなたを「成婚退会」させることです。
ここで、会員が「条件は良いけど、気持ちがついていきません」と立ち止まったとします。これは、カウンセラーにとって最も厄介な事態です。成婚というゴールが目の前にあるのに、会員の「感情」という不確定要素が邪魔をしている。この時、彼らが使う最終兵器が「恋愛風の言葉」なのです。
「恋愛感情は後からついてくる」「情が湧く」という言葉は、非常に便利な魔法の言葉です。なぜなら、それを言われた会員は、「そうか、自分のこの感情が未熟なだけなのかもしれない」「みんなそうやって乗り越えているのかもしれない」と、自分を無理やり納得させようとしてしまうからです。
これは、悪質なセールスマンが、高額商品を売りつける際に「一生モノですよ」「今決断しないと損しますよ」と、冷静な判断をさせないようにするテクニックと全く同じ構造です。彼らは、あなたの感情の迷いを利用し、「成婚」という契約書にサインさせるためだけに、「恋愛」という神聖な言葉を汚し、利用しているのです。彼らは恋愛のプロではありません。「成婚契約のプロ」なのです。この事実を決して忘れてはいけません。
感情と条件の狭間でどう判断すればいいのか?
では、私たちはどうすればいいのでしょうか。感情を無視して、条件だけで結婚相手を決めるべきなのでしょうか。それも違います。重要なのは、感情の扱い方をマスターすることです。結婚相談所という特殊な戦場で、自分の心を守りながら正しい判断を下すための、具体的な3つの指針を授けます。
- 「恋愛感情(LOVE)」と「人としての好意(LIKE)」を切り分ける まず、「好き」という言葉の解像度を上げてください。胸がときめくような、燃え上がるような「恋愛感情」は、相談所では湧かなくて当然です。それを探すのはやめましょう。代わりに探すべきなのは、「人としての好意」です。具体的には、「この人を尊敬できるか」「嘘をつかなさそうな、誠実な人か」「沈黙が苦痛ではないか」「話していて致命的な違和感はないか」といった点です。ドキドキしなくても、人として信頼でき、穏やかな時間を共有できる相手かどうか。この「LIKE」の視点で相手を評価してください。
- 減点方式ではなく「加点方式」で相手を見る プロフィールという完璧なシートから入るため、私たちは無意識に相手の欠点を探す「減点方式」に陥りがちです。「写真より背が低い」「会話が少し面白くない」など。この思考を今すぐ捨ててください。お見合いの場では、期待値をゼロに設定し、「この人の良いところはどこだろう?」という「加点方式」で臨むのです。「意外と気遣いができる」「私の話を真剣に聞いてくれる」など、小さなプラスを見つけるゲームだと考えてください。それすら一つも見つからない相手なら、迷わず次へ進めばいいのです。
- 「生理的に無理」という直感は絶対に信じる これが最も重要です。理屈では説明できない。言葉にもできない。でも、「なんとなく無理」「この人とは触れ合えない」という、体の芯から湧き上がるような嫌悪感。この「生理的な拒絶反応」だけは、絶対的な判断基準です。これはあなたの魂が発する、自己防衛本能からの最終警告です。カウンセラーに「そんなことを言っていたら誰もいなくなる」と脅されても、この感覚だけは絶対に無視してはいけません。この直感を無視した結婚は、100%、あなたを地獄に突き落とします。
結婚とは、生活です。燃え上がる恋愛感情は、いつか穏やかな情愛に変わります。だからこそ、スタートラインで必要なのは、非日常の「LOVE」ではなく、日常を共にできる「LIKE」と、根本的な部分での「生理的受容」なのです。この2つさえクリアできれば、あとは条件のすり合わせです。
カウンセラーの無責任な「恋愛」談義に、あなたの貴重な時間と精神をすり減らすのは、もう終わりにしましょう。あなたは、あなたの感情の、唯一の主権者なのですから。
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