
【この記事はこんな方に向けて書いています】
・パートナーのことは嫌いじゃない、むしろ「いい人」だと思っている方
・でも「この人と結婚したい!」という強い確信や決め手に欠けている方
・年齢的な焦りもあって、このまま付き合っていていいのか悩んでいる方
・自分の気持ちが分からなくなり、決断できないループにハマってしまっている方
「優しくて、誠実で、私のことを大切にしてくれる。客観的に見ても、本当に“いい人”。」
頭では、これ以上ないほど良いパートナーだと分かっている。でも、心が「この人だ!」と叫んでくれない。ドラマのような燃え上がる情熱も、運命を感じるような劇的な出来事もない。
「本当にこの人でいいんだろうか…?」
そんな風に、結婚への最後の一歩が踏み出せず、時間だけが過ぎていく。この決断できないループ、本当に苦しいですよね。
まずあなたに伝えたいのは、そうやって悩むのは、あなたが相手やまわりの人、そして何より自分自身の人生に対して、とても誠実だからだということです。決して、愛情が足りないわけでも、わがままなわけでもありません。
実は、その「決め手がない」という悩みの裏には、現代を生きる私たちが陥りがちな、いくつかの“心のブレーキ”が隠されています。
この記事では、あなたがなぜ決断できないのか、その心理的なメカニズムを解き明かし、「決め手」という言葉の呪縛からあなたを解放します。そして、自分自身の心と向き合い、納得のいく答えを見つけるための具体的な思考法を、ステップバイステップでご紹介します。
この記事を読み終える頃には、漠然としていたあなたの悩みが整理され、次の一歩を踏み出すためのコンパスを手にしているはずです。
なぜ「いい人」なのに決断できない?3つの“心のブレーキ”
「いい人」なのは間違いないのに、なぜか結婚に踏み切れない。その背景には、多くの場合、3つの心理的なブレーキが働いています。あなたの心に当てはまるものがないか、チェックしてみてください。
1. 完璧な相手を求める「シンデレラ症候群」
私たちは、物語や映画、ドラマを通じて、「運命的な出会い」や「すべてが完璧な王子様」というイメージを無意識のうちに刷り込まれています。
・ビビッとくるような、雷に打たれたような感覚 ・何もかもが理想通りで、欠点のない相手
・ドラマチックなプロポーズ
こうした「理想の結婚像」を追い求めるあまり、目の前にいる現実のパートナーに対して、「何かが違う」「もっと劇的な何かが足りない」と感じてしまう。これが「シンデレラ症候群」とも呼ばれる心理状態です。しかし、現実は物語ではありません。穏やかで安定した関係性の中にこそ、本当の幸せが隠れていることも多いのです。
2. 「もっといい人がいるかも」という機会損失への恐怖
マッチングアプリの普及などにより、出会いの選択肢が爆発的に増えた現代。これは、新たな出会いの機会が増えた一方で、「もっといい人がいるかもしれない」という、無限の可能性に悩まされる原因にもなっています。
これを心理学では「FOMO(Fear of Missing Out)」、つまり機会損失への恐怖と呼びます。
今の人と結婚を決めてしまったら、今後現れるかもしれない「もっと素敵な人」に出会うチャンスを永遠に失ってしまうのではないか…。この恐怖が、あなたの決断にブレーキをかけているのかもしれません。しかし、青い鳥を探し続けるように、常に「もっと」を求め続けていては、いつまでたっても心の安住の地は見つかりません。
3. 無意識に相手を「減点方式」で見ている
恋愛初期は、相手の素敵なところばかりが見える「加点方式」で見ていたはずなのに、関係が安定してくると、いつの間にか「減点方式」に切り替わってしまっていることがあります。
・「いい人なんだけど、ファッションセンスがちょっと…」(マイナス5点)
・「優しいんだけど、たまに優柔不断なところが…」(マイナス10点)
このように、相手の小さな欠点を見つけては、心の中で点数を引いていく。そして、「100点満点じゃないから、結婚相手としては不合格」と、無意識に結論づけてしまうのです。完璧な人間など存在しないと頭では分かっていても、この思考の癖が、あなたを「決められないループ」に閉じ込めてしまっています。
データが語る、結婚の本当の「決め手」とは?
では、実際に結婚した先輩たちは、一体何を「決め手」にしたのでしょうか。あなたが追い求めている「決め手」と、世の中の現実との間にギャップがないか、客観的なデータで確認してみましょう。
リクルートブライダル総研の「ゼクシィ結婚トレンド調査」によると、妻が夫との結婚を決めた理由の上位は、毎年このようになっています。
- 一緒にいて落ち着ける・自然体でいられる
- 優しい
- 愛情表現をしてくれる
驚くことに、「容姿がタイプ」「経済力がある」といった項目よりも、「とにかく一緒にいて楽」「安心できる」といった、内面的な安定感を理由に挙げる人が圧倒的に多いのです。
また、明治安田生命が毎年行っている「いい夫婦の日」に関するアンケート調査でも、夫婦円満の秘訣として最も多くの人が挙げるのは「よく会話する・コミュニケーションをとる」こと。
これらのデータが示しているのは、多くの幸せな結婚は、「燃え上がるような情熱」や「劇的な出来事」の上になりたっているのではなく、「穏やかな安心感」や「地道なコミュニケーション」という、非常に現実的な土台の上に築かれているという事実です。
あなたが今「決め手がない」と感じているその穏やかな関係性こそ、多くの人が最終的に行き着いた「最高の決め手」なのかもしれません。
「好き」の種類をアップデートしよう|情熱的な恋から“慈しむ愛”へ
心理学の世界では、愛にはいくつかの種類があると考えられています。中でも代表的なのが、恋愛初期に感じる「情熱愛(Passionate Love)」と、長く安定した関係の中で育まれる「友愛的な愛(Companionate Love)」です。
情熱愛:ドキドキする、常に相手のことを考えてしまう、性的欲求を伴う、いわゆる「恋に落ちる」状態。 友愛的な愛:深い信頼感、安心感、親密さ、お互いを深く思いやる気持ち。親友に対する感情に近い。
恋愛は多くの場合、「情熱愛」からスタートしますが、そのドキドキは、残念ながら永遠には続きません。心理学の研究では、情熱愛のピークは長くても2〜3年と言われています。
その後、関係が続けば、「友愛的な愛」へと形を変えていきます。ドキドキはしないけど、一緒にいるとホッとする。この人がいない人生は考えられない。この「慈しむような愛」こそが、長い結婚生活を支える本当の愛情なのです。
もしあなたが、「ドキドキしないから、もう好きじゃないのかも」と感じているのだとしたら、それは間違いです。あなたの愛が、次のステージに進化した証拠なのかもしれません。
【5つの思考実験】決断できないループから抜け出すための自己診断
頭では分かっても、心がついていかない。そんな時は、少し視点を変えて自分の心の中を覗いてみる「思考実験」が有効です。静かな環境で、一つずつ試してみてください。
思考実験1:「もし彼が明日、他の誰かと付き合始めたら?」
想像してみてください。明日、彼から「他に好きな人ができたから、別れてほしい。その人とすぐに付き合うことになった」と告げられたら。あなたの心は、どう動きますか?
A. 胸が張り裂けそうなほどの悲しみ、嫉妬、後悔を感じる。 B. なんだかホッとして、せいせいした気持ちになる。
もしAなら、あなたの心は、間違いなく彼を大切に思っています。失う恐怖をリアルに感じることで、自分にとっての彼の存在の大きさに気づくことができるでしょう。
思考実験2:「10年後の自分を想像してみる」
目を閉じて、10年後の未来をできるだけ具体的に想像してみましょう。
・彼と一緒にいる10年後:どんな家に住み、どんな会話をし、どんな表情で笑っていますか?
・彼と別れ、一人(あるいは別の人)といる10年後:どんな生活を送っていますか?
どちらの未来が、より穏やかで、安心感に包まれ、あなたらしくいられるでしょうか。直感的に「こっちの未来の方がいいな」と感じる方が、あなたの本心に近い答えです。
思考実験3:「親友に彼を紹介するとしたら、どう説明する?」
あなたのことを一番よく知る親友に、「今付き合っている人と結婚しようか迷ってるんだ」と相談する場面を想像してください。親友に、彼のことをどう説明しますか?
「すごく優しいんだけど、〇〇なところがちょっとね…」と欠点ばかりが出てきますか? それとも、「一緒にいると本当に安心できるし、私のことを一番に考えてくれるんだ」と、自然に彼の長所を語っていますか? 客観的な視点に立つことで、自分が彼をどう評価しているかが見えてきます。
思考実験4:「感謝できることを10個書き出す」
減点方式に陥っている思考を、強制的に加点方式に切り替えるワークです。紙とペンを用意し、「彼に対して感謝していること」を10個、無理やりにでも書き出してみてください。
「いつも話を聞いてくれる」「私が好きなスイーツを覚えていてくれる」「家族を大切にしている」… どんな些細なことでも構いません。書き出してみると、自分がどれだけ多くのものを受け取っているかに気づき、温かい気持ちが込み上げてくるはずです。
思考実験5:「“別れる”と仮定して、1週間過ごしてみる」
これは少し上級編ですが、非常に効果的です。彼には伝えずに、心の中だけで「私たちはもう別れたんだ」と仮定して、1週間過ごしてみてください。
その1週間、あなたはどんな気持ちで過ごしますか?解放感でいっぱいですか?それとも、日常のふとした瞬間に彼の不在を寂しく感じ、連絡を取りたくなりますか?このシミュレーションは、関係の「空気感」や「当たり前のありがたみ」を浮き彫りにしてくれます。
それでも答えが出ない時に試すべき“最後の一手”
これらの思考実験を試しても、まだ答えが出ない。そんな時は、頭で考えるだけでなく、実際に行動してみるのが一番です。
一つは、「お試し同棲」や「長期旅行」をしてみること。数日間の旅行や、期間限定の同棲で、生活を共にしてみるのです。楽しい時だけでなく、疲れている時や些細なトラブルが起きた時に、相手がどういう反応をするのか。自分がどう感じるのか。生活空間を共にすることでしか見えてこない、決定的な何かが分かることがあります。
もう一つは、結婚に関する具体的な話し合いをしてみること。「お金のこと」「仕事のこと」「将来子どもが欲しいか」「お互いの親とのこと」。こうした現実的な話を、真剣にテーブルに乗せてみましょう。その時の彼の反応や考え方は、あなたが結婚を決断する上で、非常に重要な判断材料になるはずです。
決断できない自分を、どうか責めないでください。あなたのその悩みは、幸せな結婚をするために不可欠な、大切なプロセスです。
この記事で紹介した方法を試す中で、結婚を決断する人もいれば、別れを決断する人もいるでしょう。あるいは、「今はまだ決めない」という決断をする人もいるかもしれません。どれも、あなたが真剣に考え抜いた末に出した、尊い「正解」です。
あなたの心が本当に安らげる場所が見つかることを、心から願っています。
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