
【この記事はこんな方に向けて書いています】
・「そもそも、何のために結婚するんだろう?」と根本的な疑問を持っている方
・結婚に憧れはあるけれど、その本当の意味や価値がよく分からずにいる方
・周りが結婚していく中で、焦りを感じつつも、結婚に踏み出す覚悟ができない方
・「愛さえあればいい」と思いつつも、事実婚や紙切れ一枚の重みに悩んでいる方
「結婚、おめでとう!」
友人からの幸せな報告に、心から「おめでとう」と思う一方で、ふと、こんな疑問が頭をよぎることはありませんか?
「そもそも、結婚って何のためにするんだろう?」
ウェディングドレス、結婚指輪、華やかな披露宴…。そんなキラキラしたイメージの先にある、「結婚生活」という長い道のり。愛する人と一緒にいられれば、別に籍を入れる必要なんてないんじゃないか。そう考える人も少なくないでしょう。
特に、生き方や価値観が多様化した現代において、「結婚=当たり前の幸せ」という方程式は、もはや過去のものとなりつつあります。
だからこそ今、私たちは、自分自身の頭で「私にとって、結婚とは何か?」という本質的な問いと向き合う必要があるのです。
この記事では、結婚という制度が持つ、キラキラしたイメージの裏側にある、もっと泥臭くて、でも、だからこそ尊い「本質」について、データや心理学的な視点を交えながら、徹底的に深掘りしていきます。
この記事を読み終える頃には、あなたは結婚に対する漠然としたイメージから解放され、「自分はなぜ結婚したいのか(あるいは、したくないのか)」という、揺るぎない判断軸を手にしているはずです。
「結婚=幸せ」は本当?データで見る現代の結婚観
まず、私たちの周りで起きている現実を、客観的なデータから見てみましょう。
国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、50歳時点で一度も結婚したことのない人の割合を示す「生涯未婚率」は、年々上昇傾向にあります。2020年の調査では、男性が28.3%、女性が17.8%と、過去最高を記録しました。これは、男性の約4人に1人、女性の約6人に1人が、生涯未婚という選択をしている(あるいは、せざるを得なかった)ことを意味します。
また、厚生労働省の人口動態統計によれば、日本の離婚率は約35%。つまり、3組に1組の夫婦が離婚している計算になります。
これらのデータが示しているのは、もはや「誰もが結婚し、添い遂げるのが当たり前」という時代ではない、という厳然たる事実です。
「なんだか、夢のない話だな…」と感じたかもしれません。 でも、ここからが重要なのです。
多くの人が結婚しない、あるいは離婚するという選択をする現代において、それでもなお、多くの人が「結婚」という形を選び、幸せな関係を築いている。
では、彼らは、結婚という制度の中に、一体どんな「本質的な価値」を見出しているのでしょうか?
本質①:結婚とは「人生の共同経営契約」である
まず一つ目の本質は、結婚が極めて現実的な「契約」であるという側面です。
恋愛が、個人の「感情」をベースにした繋がりであるのに対し、結婚は、「人生」という壮大な事業を、二人で力を合わせて運営していくための「共同経営契約」だと捉えることができます。
この「人生株式会社」の事業内容は、多岐にわたります。
・財務管理:家計の管理、貯蓄、投資、住宅ローンなど、資産の形成と管理。
・総務・人事:家事の分担、育児方針の決定、お互いのキャリアプランの調整。
・リスクマネジメント:病気や失業、災害といった、予期せぬ危機への備え。
・広報・渉外:両家の親族付き合い、ご近所付き合い、子どもの学校関係など。
恋愛中は、「好き」という感情さえあれば乗り越えられたことも、共同経営者となれば、そうはいきません。経営方針が合わなければ、会社(=家庭)はあっという間に立ち行かなくなります。
「優しいから」「面白いから」という理由だけで共同経営者を選びますか?おそらく、それだけでは不安ですよね。「誠実さ」「責任感」「問題解決能力」「価値観の近さ」といった、ビジネスパートナーを選ぶような視点が、実は結婚相手を選ぶ上で非常に重要になってくるのです。
この視点を持つと、結婚は単なる恋愛の延長線上にあるゴールではなく、新たなスタートラインであることが分かります。
本質②:結婚とは「世界で一番の味方」を得ることである
二つ目の本質は、結婚がもたらす、絶大な「精神的な安定」です。
心理学には、「安全基地(Secure Base)」という概念があります。これは、子どもが親の元から安心して外の世界へ冒険に出かけ、傷ついたり疲れたりしたら、いつでも戻ってこられる場所のこと。この安全基地があるからこそ、子どもは健やかに成長できると言われています。
大人にとって、この「安全基地」の役割を果たしてくれるのが、信頼できるパートナーの存在です。
仕事で大きな失敗をしても、人間関係で深く傷ついても、「この人だけは、何があっても私の味方でいてくれる」と思える存在がいる。この安心感は、何物にも代えがたい、人生のセーフティネットになります。
実際に、内閣府の幸福度に関する調査でも、「家族や友人との繋がり」といった、人との関係性の満足度が、主観的な幸福感に大きな影響を与えることが分かっています。中でも、信頼できるパートナーの存在は、自己肯定感を高め、人生の満足度を大きく左右する要因なのです。
世界中を敵に回しても、たった一人、自分の絶対的な味方がいる。この感覚こそが、私たちに明日を生きる勇気と、新しいことに挑戦する力を与えてくれる、結婚の最も尊い本質の一つと言えるでしょう。
本質③:結婚とは「一人では見られない景色」を見るためのパスポートである
三つ目の本質は、結婚がもたらす「人生の拡張性」です。
一人で生きる人生も、もちろん自由で素晴らしいものです。しかし、結婚は、一人では決して見ることのできない、新しい景色を見せてくれる「パスポート」のような役割を果たします。
それは、単に「1+1=2」になるという、単純な足し算ではありません。
・家族という新しい物語:子どもを授かり、育てるという経験。一人の人間が成長していく過程を、間近で見守るという喜びと責任。
・人間関係の広がり:パートナーの家族や友人が、自分の家族や友人になる。これまで交わることのなかった人々と繋がり、自分の世界が広がっていく。
・困難を乗り越える経験:二人で力を合わせ、大きな困難を乗り越えた時、そこには一人で達成した時には得られない、深い感動と絆が生まれる。
もちろん、良いことばかりではありません。価値観のぶつかり合いや、思い通りにいかない子育てなど、苦しいこともたくさんあります。しかし、その喜びも悲しみも、すべてを分かち合う相手がいる。その経験を通じて、人間としてより深く、豊かになっていく。
結婚とは、自分の人生に、もう一つの人生を掛け合わせることで、予測不能で、だからこそ面白い、新しい物語を紡ぎ出していく壮大な冒険なのです。
なぜ「紙切れ一枚」が重要なのか?法的な意味と社会的信用のリアル
「お互いを想う気持ちがあれば、籍を入れる必要はないのでは?」という、事実婚に関する疑問。これも、結婚の本質を考える上で避けては通れないテーマです。
愛情という点では、法律婚も事実婚も変わりはないかもしれません。しかし、現在の日本の法律や社会制度においては、あの「紙切れ一枚」には、非常に大きな意味があります。
・法的な権利と義務:婚姻届を提出することで、夫婦は法律上の「家族」となり、相互扶助の義務が生じます。また、相続権が発生し、一方が亡くなった場合、配偶者は法定相続人として財産を受け継ぐことができます。
・税制上の優遇:配偶者控除など、税金面で優遇措置を受けられます。
・医療における同意権:パートナーが大きな手術を受ける際などに、家族として医療行為への同意をすることができます。
・社会的な信用:住宅ローンを組んだり、クレジットカードを作成したりする際に、「配偶者」がいることは社会的な信用として有利に働く場合があります。
これらは、愛情だけではカバーできない、非常に現実的で重要な側面です。 結婚とは、単に気持ちを確かめ合うだけでなく、「法的な責任を負ってでも、生涯にわたって、あなたとあなたの人生を守ります」という、社会に対する公式な「覚悟の表明」でもあるのです。
「最高の結婚」をするために、今考えるべきたった一つのこと
ここまで、結婚が持つ様々な本質について見てきました。 では、これらを踏まえた上で、「最高の結婚」をするためには、何が一番大切なのでしょうか。
それは、パートナー選びの前に、まず「あなたにとって、人生で最も大切にしたいものは何か?」という問いに、自分なりの答えを持っておくことです。
・家族や仲間との温かい繋がりですか? ・仕事を通じて、社会に貢献することですか? ・趣味や好きなことに没頭する、自由な時間ですか? ・経済的な安定と、穏やかな生活ですか?
この「人生の軸」とも言える価値観が、これからあなたが下すすべての決断の基準になります。そして、この軸を共有できる、あるいは尊重し合える相手こそが、あなたにとって最高のパートナーとなり得るのです。
結婚の本質とは、誰かが決めた一つの「正解」があるわけではありません。 人生という名の会社を、どんな理念で経営し、どんな未来を目指していくのか。 そのビジョンを、二人で描き、共有し、そして実現していくプロセスそのもの。
それが、現代における「結婚の本質」なのではないでしょうか。
この記事が、あなたが自分だけの「結婚の本質」を見つけ、後悔のない選択をするための一助となれば幸いです。
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