年収で男を測る人へ。データが示す「高収入=幸せな結婚」という大いなる勘違いと、本当の価値の見つけ方

【この記事はこんな方に向けて書いています】

  • パートナー選びの第一条件が「年収〇〇万円以上」になっている
  • 相手の年収を聞いた瞬間に、態度や評価がガラッと変わってしまう
  • SNSで見る友人たちの華やかな生活と比べて、焦りや劣等感を感じている
  • 高収入な相手と付き合ってはみたものの、なぜか心が満たされない
  • 数字や条件ではなく、その人自身を愛し、心から信頼できる関係を築きたい

「お相手に求めるご年収は、どれくらいですか?」 婚活の場では、まるで挨拶のように、この質問が投げかけられます。あなたもきっと、「そりゃあ、高いに越したことはないわ」と、心の中で頷いているのではないでしょうか。 安定した生活を送りたい。将来、お金のことで苦労はしたくない。そう願うのは、ごく自然で、決して悪いことではありません。

でも、その「年収」というフィルター、いつの間にかあなたの目を曇らせ、本当に大切なものを見えなくさせてはいませんか? 「年収1000万円」という数字が、その人の人間的な価値や、あなたとの相性までも保証してくれるかのように、錯覚してはいませんか?

この記事では、なぜ私たちがこれほどまでに「年収」という数字に囚われてしまうのか、その心理的な背景を解き明かします。そして、「高収入=幸せな結婚」という、世間にはびこる幻想がいかに脆く、危険なものであるかを、誰も反論できない”データ”と共に解説していきます。これは、あなたの「痛いクセ」を治療し、本当の意味で豊かなパートナーシップを見つけるための、少し苦い処方箋です。

まずは現実を知ろう。あなたの「理想の彼」、日本に何人いますか?

「最低でも年収800万円はないと…」「やっぱり、1000万円は欲しいかな」 あなたがそう思うのは自由です。ですが、その理想が、どれほど厳しい椅子取りゲームであるかを、まずは客観的なデータで認識する必要があります。

国税庁が発表している「民間給与実態統計調査(令和4年分)」を見てみましょう。 日本の給与所得者のうち、年収800万円を超えている男性は、全体のわずか9.7%しかいません。 さらに、あなたが夢見る年収1000万円超えとなると、その割合は6.9%まで激減します。

つまり、男性が100人いたら、年収1000万円を超えているのは、たったの7人弱。 しかも、これは全年齢の数字です。あなたが結婚相手として考えるであろう20代~30代に絞ると、その割合はさらに低くなります。 そして、忘れてはいけないのが、この中には、すでに結婚している男性も多数含まれているという事実です。

「でも、私の周りには高収入の人がたくさんいる」と感じるかもしれません。しかし、それはあなたのいる環境が、日本全体の平均から見れば特殊であるということに他なりません。 あなたが追い求めているのは、砂漠でダイヤモンドを探すのに等しい、極めて希少な存在なのです。その高すぎるハードルが、あなた自身の出会いの可能性を、いかに狭めているかに気づくべきです。

なぜ私たちは、これほどまでに「年収」という数字に囚われるのか

では、なぜ私たちは、こんなにも非現実的な数字にこだわってしまうのでしょうか。その背景には、現代社会が抱える、いくつかの根深い問題があります。

1. 将来への漠然とした不安が生む「安定志向」

年金問題、終身雇用の崩壊、物価の上昇…。私たちの未来は、決して明るいとは言えません。 「せめて、お金の心配だけはしたくない」「自分に何かあっても、経済的に支えてくれるパートナーが欲しい」 こうした、将来への漠然とした不安が、男性の経済力に「安定」を求める気持ちを加速させています。これは、ある意味で、変化の激しい時代を生き抜くための、自然な防衛本能とも言えるでしょう。

2. SNSが煽る「見栄」と「無限の他者比較」

この問題が、現代において最も深刻かもしれません。 Instagramを開けば、友人たちの、タワーマンションからの夜景、高級ホテルのアフタヌーンティー、海外旅行の写真が、これでもかと流れてきます。

あなたは、それを見るたびに、無意識のうちに自分の生活と比べてしまいます。 「〇〇ちゃんは、あんなに素敵な生活をしているのに、私は…」 「少なくとも、友達より下のレベルの結婚はしたくない」

SNSは、私たちを「無限の比較地獄」に突き落としました。自分の内側から湧き出る「幸せ」ではなく、他人と比べて優位に立てるか、という「相対的な幸福」を追い求めるようになってしまったのです。高収入のパートナーは、その比較ゲームに勝利するための、最も分かりやすいトロフィーに見えるのです。

3. 「私には価値がない」という、自己肯定感の低さ

そして、最も根深いのがこの問題です。 自分自身に自信がなく、「ありのままの自分では愛されない」と思っている人ほど、パートナーの「肩書」や「年収」に強く執着する傾向があります。

なぜなら、自分自身の価値を、自分で認められないから。 だから、「年収2000万円の彼に選ばれた私」「誰もが羨むようなパートナーを持つ私」という、他者からの評価を得られるステータスを手に入れることで、間接的に自分の価値を確認しようとするのです。 彼の年収は、あなたの自信のなさを覆い隠すための、高価なブランドバッグと同じ。ですが、そのバッグは、あくまで借り物にすぎません。

「高収入=幸せ」という幻想。ノーベル賞学者が示した、不都合な真実

では、仮にあなたが、その厳しい競争を勝ち抜き、見事に高収入のパートナーを手に入れたとしましょう。あなたは、本当に幸せになれるのでしょうか。 残念ながら、その幻想は、科学によって無慈悲に打ち砕かれています。

ノーベル経済学賞を受賞した米国の心理学者、ダニエル・カーネマン教授は、「お金と幸福度」に関する非常に有名な研究を発表しました。 その研究によると、人々の感情的幸福(日々の生活で感じる喜び、ストレス、悲しみなど)は、年収が7万5000ドル(当時のレートで約800万円、現在の価値では約1000万円程度)に達するまでは、収入に比例して増加します。

つまり、年収300万円の人より500万円の人、500万円の人より800万円の人の方が、日々の幸福を感じやすいのは事実です。お金によって、生活の様々なストレス(支払いの心配など)が解消されるからです。

しかし、ここからが重要です。 年収が7万5000ドルを超えると、それ以上収入が増えても、感情的幸福度はほとんど上昇しなくなるのです。 つまり、年収1000万円の人と、年収3000万円の人と、年収1億円の人が、日々の生活で感じる「嬉しい」「楽しい」といった感情のレベルは、実はほとんど変わらない、ということです。

これは、何を意味するのか。 あなたが血眼になって求めている「年収1000万円以上」という世界は、幸福度の観点から見れば、実は「天井」に近いのです。それ以上の年収は、あなたの日常的な幸せには、ほとんど影響を与えない。この、あまりにも不都合な真実を、私たちは知るべきです。

年収フィルターがもたらす、あなたの人生における3つの悲劇

それでもまだ、あなたは「年収が高い方がいいに決まっている」と思いますか。では、その年収フィルターが、あなたの人生に具体的にどのような悲劇をもたらすかをお話ししましょう。

1. 最高のパートナーを「足切り」する悲劇

世の中には、今はまだ年収が高くなくても、誠実で、優しくて、あなたと価値観がぴったり合い、共に成長していける、素晴らしい男性がたくさんいます。 あなたの人生を、本当の意味で豊かにしてくれるのは、そうした「人間性」の部分です。 しかし、あなたの「年収フィルター」は、そうした宝物のような出会いを、入り口の段階で無慈悲に「足切り」してしまいます。あなたは、自分の手で、最高の幸せを掴むチャンスを、ドブに捨てているのかもしれないのです。

2. 「金の切れ目が縁の切れ目」になる悲劇

もしあなたが、相手の年収や経済力だけに惹かれて結婚したとします。その関係は、あまりにも脆く、危険です。 この変化の激しい時代、どんな大企業でも、いつ傾くか分かりません。彼が突然、リストラされたら?病気や事故で、働けなくなったら? その時、あなたを繋ぎとめていた「お金」という名の接着剤が剥がれたら、二人の関係はどうなるでしょうか。「金の切れ目が縁の切れ目」。そんな、あまりにも虚しい結末を迎えるリスクを、あなたは常に抱え続けることになるのです。

3. お金と引き換えに「魂」を売り渡す悲劇

高収入の相手と結ばれることで、あなたは経済的な自由を手に入れるかもしれません。しかし、その代償として、精神的な自由を失う可能性があります。 経済的に完全に依存してしまうと、二人の関係は対等ではなくなります。 彼の理不尽な要求にも、あなたは「生活があるから」と我慢しなければならないかもしれない。 自分の意見や夢を、「養ってもらっているくせに」の一言で封じ込められるかもしれない。 それは、お金と引き換えに、あなた自身の「尊厳」や「魂」を、少しずつ売り渡していく人生です。その人生の終着駅で、あなたは本当に「幸せだった」と笑えるのでしょうか。

“年収という呪い”から解放され、本当の価値を見つけるための思考法

もう、数字の呪縛から解放される時です。年収という、たった一つの指標で、人の価値を測る、その痛くて浅はかなクセを、今日で終わりにしましょう。

1. 「消費」のレベルではなく「価値観」のレベルで相手を見る

彼が、どんな高級レストランに連れて行ってくれるか。どんなブランド品をプレゼントしてくれるか。そんな「消費」のレベルで、彼の愛情や価値を測るのはやめなさい。 見るべきは、そこではありません。 見るべきは、彼が何に、どのように、お金を使うかという「価値観」です。

レストランの店員さんに対して、横柄な態度を取っていないか。 自分の趣味には大金を使うのに、人のためにはびた一文使おうとしない人間ではないか。 将来のために、きちんと貯蓄や投資をしているか。 お金の使い方には、その人の人間性、哲学、そして人生そのものが表れます。

2. 相手の「現在の年収」ではなく「未来を生き抜く力」を見る

今の年収は、過去の実績に過ぎません。そして、未来を保証するものでは、決してありません。 本当に見るべきは、彼の「現在の年収」という静的な数字ではなく、これから先の変化の激しい時代を生き抜いていくための「生きる力」という動的な能力です。

それは、コミュニケーション能力かもしれません。問題解決能力かもしれません。新しいことを学び続ける学習意欲かもしれません。あるいは、逆境に立たされた時の精神的な強さかもしれません。 こうしたポータブルなスキルこそが、たとえ会社が潰れても、時代が変わっても、彼があなたと家族を守り抜くための、本当の力になるのです。

3. あなた自身の「経済的・精神的自立」を目指す

究極的には、これしかありません。 あなたが相手の年収に執着するのは、心のどこかで、彼に「依存」しようとしているからです。 まずは、あなた自身が、自分の足でしっかりと立つことです。 彼がいなくても、一人で生きていけるだけの経済力を身につける努力をする。 誰かに幸せにしてもらおうと期待するのではなく、自分で自分を幸せにできる、精神的な強さを持つ。

あなたが、あなた自身の力で満たされていれば、相手に過剰な経済力を求める必要はなくなります。そして、初めて、相手を条件ではなく、一人の人間として、対等なパートナーとして、見ることができるようになるのです。

安定を求める気持ちを、否定するつもりはありません。ですが、年収は、あなたの幸せな人生を構成する、無数のピースの一つに過ぎないのです。 そのたった一つのピースに囚われて、残りの全てのピースを見失うことほど、愚かなことはありません。 数字という呪いから自らを解き放ち、目の前の相手の「人間性」そのものと向き合う。 その覚悟を決めた時、あなたの人生は、本当の意味で、豊かに色づき始めるはずです。

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